この記事は“Logicool G PRO HERO”についてレビューしていく。
評価:3.5 [jinstar3.5 color=”#ffc32c” size=”16px”]
スイスに本社を置く、様々な分野でデジタルデバイスを提供する企業『Logitech』。その日本法人かつ国内展開ブランド『Logicool』のゲーミングデバイスブランド「Logicool G」が提供する有線ゲーミングマウス「PRO HERO」。
「PRO HERO」は、G100から続く基本形状をそのままにプロの世界で通用するようアップデートされたLogicool G「PRO」シリーズの処女作。
スペック
形状 | 左右対称 |
---|---|
DPI | 100-25600 (20年9月15日に解像度を16000から25600へアップグレード) |
LOD | 1.5mm(実測値) |
ボタン数 | 6つ(左側面に2つ) |
センサー | HERO 25K (アップグレードに伴いHERO 16Kから改称) |
ケーブル長 | 約200cm |
ポーリングレート | 125,250,500,1000Hz |
サイズ | L 116.6×W 62.15×H 38.2mm |
ソフトウェア | G HUB |
外箱と内容物
内容物は取扱説明書、重要事項説明書、保証書、ステッカー、マウス本体である。
マウス本体
360°VIEW
基本的な形状はG100から受け継ぐものの「PRO HERO」は似て非なるゲーミングマウス。
両サイドのサイドボタンがある位置からボトムにかけて描くカーブラインが形状的に保持しづらい。後述する凹凸の少ない処理がさらに持ちにくさに拍車をかける。
表面
かぶせ持ちに適した小ぶりな左右対称形状。DPIボタンはスクロールホイールの直下に位置する。表面は半光沢梨地加工。使用開始直後の防滑性は特に問題ないのだが、時間が経過すればするほど低下する。手に汗をかいたとき、マウスをホールドする親指・薬指・小指のポジションがじわじわとずれていく。指紋や汚れは長時間使用しても全く残らない。
G100の後継機種であるG100sと今回レビューする「PRO HERO」を並べると基本的な形状は同じように見えるが、細部まで確認すれば多くの変更点がある。
- スクロールホイールの防滑パターンが無から有へ
- 左右クリックセパレートパターンが非独立から左右独立へ
- クリック部分が平面から指が自然に沿うように曲面の凹みガイドを追加
- サイドボタンを左側面に追加
トップシェルは左右クリック・DPI・シェル本体・パームに分解結合可能。すべてプラスネジで締結。「PRO HERO」は、ゲーミングマウスの軽量化が世界的主流になる前の設計思想で作られており、肉抜き等の工夫は一切行われていないため強靭な強度を有する。
裏面
ボタン類は無い。G100やG100sからスケート形状は変更されており、「G102」や「PRO HERO」から採用されているオリジナル形状のマウススケート。Logicoolから純正スケートは提供されていないが、サードパーティー製の提供がある。日本企業ではビット・トレード・ワン製「マウススケータースタンダード」があるため摩耗しても交換可能。
マウスを分解結合するにはボトムシェル側のプラスネジ3本を緩解する必要がある。その内1本はシリアルナンバーが記載されているシールの裏側で、残り2本はケーブル側のマウススケートの裏側に隠れている。
マウススケートと両面テープの間に刃が入りやすい層があり、その隙間に誤って刃を入れるとスケートのみ剥がれ両面テープは残るので、両面テープとシェルの隙間に刃をいれること。シールやスケートを剥がす手間が少し厄介だが、トップとボトムの分離は非常に簡単。
他社製スケート
日本企業のビット・トレード・ワン製の「マウススケータースタンダード」を紹介する。素材は滑走性に優れたPTFE製。色や硬さで推測する限りおそらく純度100%に近い純度だが公称値がないため詳細は不明。ほかにも様々なメーカーから提供されているが、日本国内で最もこれが入手しやすいだろう。交換前と交換後のLOD距離が多少変化する可能性があるため注意。
HERO 25Kセンサー
センサーはLogicoolオリジナルのHERO 25K。DPI(解像度)は100-25600。2020年9月15日に16,000dpiのマウス用光学センサー「HERO 16K」の解像度を、25,600dpiにアップグレードした。なおこれに伴いセンサー名も「HERO 25K」に変更された。G HUBでアップデート可能。物理的ではなく内部のファームウェアアップデートなので買い替え等は不要だ。
リフトオフディスタンス(LOD)は公称値で明らかになっていないが、シックネスゲージを用いた実測値で1.5mmであった。
重量
公表値は85グラム。ケーブル込みの実測値は86グラム。軽量マウスが主流になる前の設計であり、最新の超軽量マウスの部類には入らないが、小型筐体のおかげで86グラムに収まっており、いまでもなお現役で使える。
握り心地
筆者の手のサイズ
[2col-box] [2-left title=”中指から手首の付根までの長さ” style=”1″]

かぶせ持ち
手のひらと人差し指・中指をマウスに密着させて、あとはそのまま自然にホールドすればフィット。フリック、持ち上げなどすべての動作が問題なくできる。3種の持ち方で最もしっくりくる持ち方で、クリック感が最も明確かつ軽快。
つかみ持ち
親指・人差し指・中指・薬指の位置およびホールド感はとても良いが、筆者のような手の大きな方では小指の安定して保持しやすいポイントが見つからないため窮屈に感じる。クリック感の軽快さはかぶせ持ちに劣る。時間経過で防滑性が低下する表面処理も合わさって疲れやすい。
つまみ持ち
両側面をどれだけ無理せずにしっかりとホールドできるかがポイント。筆者のサイズでは手のひらで保持できなくなった分、両側面を保持するための力が強くなったため疲れやすい。時間経過で防滑性が低下する表面処理も合わさって私の手ではまともに使えない。
ビルドクオリティ
左右のマイクロスイッチはクリックする位置によってクリック感がまったく異なる。ケーブル側がもっとも明確な入力でレスポンスが良い。各パーツのチリ合わせも良く、あそびも無い。スクロールホイールは24ノッチで1周。回転に必要な力は平均的。(動画参照)
下記画像のトップシェルに写るばね(ボタンテンションシステム)の効果でクリックした指を離すと瞬時にクリックパーツが戻る。
ケーブルはゴム製にもかかわらず柔軟性が優れているため操作を邪魔しない。径は「CAMADEⅡ」や「Mouse Bungee V2」などのマウスバンジーでしっかり保持できる適切な太さ。RGBLEDは後部側面と表面のLogicool Gのロゴが光る。
左右クリックのマイクロスイッチはOmron ChinaのD2FC-F-K(C)。サイドおよびホイールクリックのマイクロスイッチはKailh製。型番は不明。万が一チャタリングが発生しても簡単にはんだ付けして交換可能な構造であった。
ドライバー・ソフトウェア
Logicool G製品のソフトウェアは『G HUB』。
できること
- ボタン別に操作の割り当てやマクロ設定
- ゲームやソフト別に割り当てや設定の保存、読み込み
- 100-25600のDPI調整(50ノッチごと)
- ポーリングレートの変更
- RGBイルミネーションのパターン・輝度・速度の変更
- ソフトウェア・ファームウェアアップデート
できないこと
- リフトオフディスタンス(LOD)の調整
HERO 25K センサー
「PRO HERO」はLogicoolオリジナルのHERO 25Kセンサーを搭載。DPIは100-25600の間で50ノッチごとに変更可能。LODは調整できない。
環境
- OS:Windows 10
- 接続モード:有線接続
- 使用ソフト:MouseTester ver 1.5.3
- マウスパッド:Xtrfy GP2
- ポーリングレート:1000Hz
結果
マウスが出す信号とPCが受け取る信号の同期について、xCountグラフでDPI1600以降の高DPIになるにつれてスパイクが目立つ。拡大図を観察するしても分かる。xSumグラフのほうはトラッキングは正確かつ滑らか。詳細が気になる方は下記リンクへ。
本音のまとめ
評価:3.5 [jinstar3.5 color=”#ffc32c” size=”16px”]
マウス内部の性能、機能についてはゲーミングマウスとして間違いなしではあるが、側面形状や大きさが持ち方を限定させているので持ち方と手の大きさ選ぶゲーミングマウスである。人それぞれ手の大きさ、指の置き方、握り方が異なるため「PRO HERO」は合う人には合うだろう。実際に触れる機会があれば、ぜひあなたの手で試してほしい。
- 滑らかなトラッキングができる高性能なHERO 25Kセンサーを搭載。
- 操作を邪魔しない柔軟なゴムケーブル。
- LODが実測値1.5mmで扱いやすい。
- かぶせ持ちに限るが握りやすい形状。
- 実測86グラムで一応軽量マウスに入る重量。
- マウス内部の性能は一級品で、手にしやすい価格設定。
- 手の大きさによるが持ち方が制限される側面形状。
- 時間経過につれて防滑性が低下する表面処理。